KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

アドラー心理学特殊講義と演習:共同体感覚とナラティブ(2)


2日目は,午前中から実習を行いました.3〜4人のグループに分かれて,相談の練習をしながら,共同体感覚とは実際にはどういうことなのかを身体で習います.グループでは,2人がペアを組み,話をする役と話を聞く役をします.残りの人は2人のやり取りを観察します.

話を聞くポイントは,相手のエピソードを聞くことです.エピソードとは,ある日あるところで1回だけあった出来事です.それをできるだけ具体的に聞くのです.それがお手伝いの出発点になります.

エピソードでないものはレポートです.「あの人はああいう人だ」とか「いつも彼はそうしているんですよ」というのは,私たちが頭の中でいくぶん勝手に定式化したものです.

私たちの頭の中はレポートで一杯なので,話をするときもついついレポートを話してしまうのですね.でも,相談に乗るということは,定式化されたレポートを解体して新しい見方を導入するということですから,レポートからスタートしてしまうとそれは難しいのです.ですから,生のエピソードを聞くようにするというわけです.

そんなふうに話を聞きながら,「どうすれば幸福なのか」ということを一緒に探していきます.「なぜそうなったのか」という原因はあまり気にしません.原因がわからなくても問題を解決する目標がわかれば,結局は,問題は解決できるのですから,そこに集中する方が賢いのです.