KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【本】やましたひでこ『大人の断捨離手帖』は人生哲学

2023年9月5日(火)

やましたひでこ『大人の断捨離手帖』(Gakken, 2015)をKindle Unlimitedで読んだ。博多でダンシャリアンの方に会って、やましたひでこさんのことを聞いた。本を読んでおこうと思っていたので、よかった。やましたひでこさんは早稲田大学文学部の卒業で、生年はわからないけれども、たぶん私の先輩に当たる。2001年の秋から断捨離について発信し出したそうだ。

橋本努『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』にも当然その言及がある。183ページに「ミニマリズムが流行する少し前に、やましたひでこ『断捨離』がベストセラーになった」として数ページにわたって紹介されている。ミニマリズムの源流としての断捨離ですね。すごい。

さて、その本の内容を簡単にまとめておく。

・断:モノの入口。必要なモノを選ぶこと。
・捨:モノの出口。必要なモノを残すこと。
・離:断と捨を繰り返すことによって到達する状態。最適に機能している状態。
断捨離はこの3つのプロセス。

モノはモノ以上に感情そのもの。モノを手放すことによって感情も手放せる。その結果、今までとは違うところに関心が向かうようになる。断捨離はモノを通した自分探し。

「片付ける」は片をつけること。モノであれなんであれ必ず終わりがある。使えるからという理由でモノを溜め込むとゴミ置き場になる。

モノを溜め込む3つの心理タイプ
・現実逃避型:片付かない現実を直視しない。自分とモノとの関係を見るのが億劫。
・過去執着型:過去に焦点があり、大切な今が見えなくなっている。「高かったから捨てられない」
・未来不安型:未来の不安に備えて漠然とモノを溜め込む。「いつかそのうち使うかもしれない」

モノと空間で自分をもてなし、ねぎらう。自分への信頼と自信を取り戻していくプロセス。

モノを絞り込む2大基準
・重要軸は「私」:私とモノの関係が生きて機能しているか。使えるモノであっても私が使わないなら所有する意味はない。高いモノであっても私が好きでないなら価値はない。
・時間軸は「今」:「いつか」「そのうち」のモノを溜め込んでいても忘れてしまう。「いつか」使いたくなったら「そのとき」考える。

モノを絞り込む3つのステップ
・要・不要:必要か
・適・不適:ふさわしいか
・快・不快:心地よいか

モノを入れ替えることで「セルフイメージ」が入れ替わる。断捨離が最終的に目指すのは「覚悟と勇気のある楽天家」。私は人生のその時々にふさわしい道を自由に選べる自分でありたい。