KogoLab Research & Review

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【本】ラスムッセン『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(2)

2023年9月6日(水)

ラスムッセン(今井康博訳)『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(川島書店, 2022)の4章のまとめ。ここはアドラーの章で他の章よりも長い。

https://www.amazon.co.jp/dp/4761009454?tag=chiharunosite-22

第4章 個人心理学—アルフレッド・アドラーの視点

アドラーの前提:(1) 他者との間に所属の感覚と居場所を、(2) 交友関係を通じた自己価値感を追い求める。自己価値感とは優越感を追い求めることで、感じられるプラス(felt plus)となる。逆に、無能感とは劣等感にさいなまれることで、感じられるマイナス(felt minus)となる。優越と所属の追求は、まず家庭から始まり、仲間、友達、大人の友人、選んだ職場で実行される。

ドライカース:自己価値と有用性の感覚を得ようとするときに現れる4つの動機として、(1) 注目喚起、(2) 権力闘争、(3) 復讐、(4) 無能の証明がある。これらは「セーフガード」(自己防衛)として働く。

アドラー:「大事なものは与えられたレンガではない。手に入れたレンガをどう使うかだ。あなたは宮殿を建てることもできれば、離れの小屋を建てることもできる」「人がどれだけ頭が良いかは問題ではない。その人間が愚かにふるまえば、彼は愚かなのだ」

虚構目的論:自分の重要さや優位さを感じさせてくれるもの。認知理論におけるスキーマや中核概念にあたる。

私的論理が感情的な反応を生む。感情を変えるためには、自らのロジックを変えなければならない。

ネガティブ認知トライアングル:
 自己:役立たず
 世界:危険で厳しい
 将来:絶望的

共通感覚は、本質的に私たちの良心を意味する。対して、私的感覚は利己的であり、個人的な目標を反映している。

アドラーは人間が直面する課題「人生のタスク」の性質を説いた最初の1人。アドラーは「仕事・交友・愛」の3つを提示し、その後後継者がさらに3つを加えた。
(1) 仕事:やせて固くなったこの地表で生きてゆかねばならない。
(2) 交友:他者とうまくやっていく。多くの友人を作るにはまず自分が友人となること。
(3) 愛:安全、信頼、安らぎの関係。
(4) セルフケア:自分とうまくやっていく。健康と共に感情面でも安定し健やかであること。
(5) キン・キーピング:子供、両親、他身近な関係にある人々に対する責任
(6) スピリチュアリティ:人生の意味とは何か。その人の思考や行動を導く基準を作り出すこと。

感情によるすばやい適応は長い目で見ると不適応な場合もあり、さらなる拙速な行動につながる。

鬱は、ストレスを生む活動から降りることにお墨付きを与える役割を果たす。