KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

富山県学習個別化研究会で話す

学習個別化研究会で講演してきた。

……学習個別化?

そう。CAI(コンピュータ支援による教育)の流れをくむ研究会で、30年以上の歴史がある。そこでPSI(個別化教育システム)の実践についての話をしてきた。

……それはうってつけの話だったなあ。

それはよかったんだけどね。講演が終わって主催者側の挨拶を聞くと、なんと今年度限りでこの研究会は解散するということだった。

……じゃ、君の講演はお線香をあげにいったようなものだね。チーン、南無。

会員がだんだんと減ってきたということだ。心の教育だ、総合的学習だと騒いでいる今では流行らないということなんだろうね、要は。実に残念。

……学校教育は本当に流行に影響されやすいと思うね。やり方にはやりすたりがあってもいいと思うけれども、そのせいで、徹底的に検証された教育の方法が実践されなくなっていくのは犯罪的だともいえるな。心の教育よりも分数の計算だよ。

学習というのは本来、個別的なものだ。同じことを教えられても、個人個人でまったく違った理解の仕方をすることは認知心理学が明らかにしているし、また、同じ理解に達するとしても、それにかかる時間は個人ごとに違うということは教育工学が明らかにしている。それを解決するシステムが個別化教育なんだが、伝統的な学校教育にはなかなか取り入れられなかった。生徒一人一人がコンピュータに向かっているという図式が非人間的に見えたからだ。しかし私にいわせれば、金八先生的熱血教師がクラスを支配するという方がよっぽど非人間的だ。熱血教師にぴったり合う生徒は感動の青春時代をおくれるだろうが、そうでない大部分の生徒にとっては最悪だ。

……まあ、君が金八先生を嫌いなのはよくわかったよ。で、今できることは?

「教える」という仕事に帰ることだね。それしかない。