KogoLab Research & Review

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ジョン・ウィットモア『はじめのコーチング』

はじめのコーチング

はじめのコーチング

コーチングとは、人の潜在能力を解き放ち最高の成果を挙げさせることだ。教えるのではなく、自ら学ぶことを助けるのである。これは何も目新しいことではない。ソクラテスも2000年ほど前に同じことを言った。だが、その哲学は過去2世紀、すべてを物質に還元する考え方に人々が急激になだれこんで行く中で見失われた。しかし、振り子は戻ってきた。ソクラテスの時代ではないにしても、この先、当分はコーチングの時代が続くだろう!

GROWモデルを基本として、詳しくコーチングのプロセスについて説明しています。GROWモデルというのは:

  • Goal 短期的及び長期的な目標、およびセッションの目標を設定する
  • Reality 現実を差繰り出すために現在の状況をチェックする
  • Options 選択肢と代替戦略案または行動案
  • What, When, Who, Will 何をいつだれがするのか。そしてそれを実行する意思

ということですが、ただこのプロセスに従うのではなく、コーチを受ける人の意識を高め、責任感を育てることが肝要であると主張します。たとえば、「ボールをよく見ろ」というのはスポーツコーチがよく使う指示ですが、あまり効果はありません。そうではなく、「ボールはどんな回転をしていましたか?」という質問をすることによって、自然とボールに意識が集中します。このような質問の技術をつかいなさいと教えてくれます。

後半では、コーチングをしていると、意味と目的の問題を避けて通るわけにはいかないということを主張します。これがマズローを初めとした第三勢力心理学=人間性心理学につながっていきます。さらには、アサジョーリの統合心理学=サイコシンセシスからトランスパーソナル心理学に展開して、いよいよ怪しげな雰囲気になっていきます。しかし、水平軸を知識、垂直軸を智恵とすれば、水平に進むのも、垂直に進むのも、危うい、そのバランスを取って45度の方向に進むべきだと主張するに至って、著者のバランス感覚のすばらしさを感じます。

コーチングの可能性は、自分自身をコーチングできることにもあります。セルフコーチングができるようになるにはかなりの努力がいりそうですが、それは価値あるものになるでしょう。それによってただひたすら仕事やビジネスに走り続けるとしても、いつかは「意味の危機」に突き当たるのですから、そこからまた新しい人生が開けることでしょう。