KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

メリル・E・ダグラス『24時間をどう使うか!』

24時間をどう使うか!―今日からすぐ効果が出る「10原則」 (知的生きかた文庫)

24時間をどう使うか!―今日からすぐ効果が出る「10原則」 (知的生きかた文庫)

 うわ。また寝てしまった。……これって老化現象かもしれない。

 最近忙しさを感じている。いや、忙しさというのではないな。時間が経つ割に、仕事が進んでいなかったり、成果が出ていないというのを感じている。夏休みになればなんとかなると思っていたりするが、それも幻想かもしれない。

 そこで、こんな本を買って読んでみた。メリル・E・ダグラス「24時間をどう使うか!」(三笠書房、知的生きかた文庫、1999)。

 「知的生き方文庫」なんてのを読む人に知的な人はいない、というような揶揄は成り立つと思う。だから私はこの文庫がわりと好きだ。とりわけ外国の翻訳ものはなかなかいい。翻訳ものは、なんやかんやいっても、「最終的にあなたの人生をどうしたいのか?」的なところに収束する。「24時間をどう使うか!」というようなタイトルでもし日本人が書けば、手帳の使い方とか、パソコンによるスケジュール管理といったようなテクニック的な内容になるだろう。一方、翻訳ものの場合は、テクニックは最小限にして、原理とその根拠、そして具体的なケーススタディが中心になる。翻訳ものは人生論から始まるトップダウン、日本ものは手帳の使い方から始まるボトムアップとおおざっぱに分けることができるだろう。

 この本で面白かったのは、仕事を「緊急な/緊急でない」と「重要な/重要でない」の2×2の4つに分類できるという点。人は「緊急だけれども重要でない」に追いまくられる傾向があり、「緊急でないけれども重要な」仕事を後回しにしてしまう。パレトの法則にしたがって、「緊急だけれども重要でない」仕事は全体の時間の80%を占める。しかし、成果の80%は、残りの20%の時間でなし遂げられたことだ。したがって、「緊急でないけれども重要な」仕事にどれだけの時間をかけられるかが、成果の総量を増やすためのキーポイントになる。

 具体的には、自分の行動について時間簿をつけてみることを勧めている。そうすることによって自分がいかに重要でない仕事に時間を使っているかが認識できる。そうした上で、自分の行動予定表を書いてみる。特に行動リスト(To Doリスト)には、それをやるために必要な時間の見積もりを入れるといい。それに基づいて、具体的なスケジュール(行動リストの項目をいつやるか)を立てて実行していく。

 誰にでも優先順位の高い重要な仕事がある。しかし、それに「優先」マークをつけて行動リストにいれておくだけで安心してしまい、いつまでたっても手を付けられずにいたりする。これを避けるためには、仕事を具体的な小さな仕事に分割すること。10分間でできるような「ミニ仕事」に分割することがコツだという。

敗者がしたがらず、成功者が進んですることとは果たしてどんなことだろうか? ナイチンゲール伯爵によると、それは誰もしたがらないことである。/たとえば時間の問題についていえば、たいていの人は目標を明確にすること、時間を記録し分析すること、週の計画を立てることなどはしたがらない。/そういうことを誰もがしたがらないのに、なぜ一部の人間はそれをするのだろうか? 彼らもそれをしたいわけではない。ただそれをすることは目標の達成に役立つということを知っているのである。/言い換えれば、成功しない人たちは楽しいこと、したいことをするだけでよしとするのである。

 本の最後の方に、こう書いてあるのを読むと、なんとなく「成功第一主義」を感じて、私などには「しんどい」感じがする。そこまで言わなくてもいいんじゃないか、と。私はただ目の前にある忙しさをなんとかしたいと思っているだけなのだから。