KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

看護学校で教える統計学

看護婦さんにインタビューしてきた。

看護学校で統計学を教えているのだが、どうもかんばしくない。なんとかみんな合格してくれるのではあるけれども、授業アンケートをとってみると、統計学への苦手意識が増加していたり、統計学が自分とは無縁なものであると考えたりしている。これではだめだ。たとえ統計学の知識や技能が身に付いたとしても、それは一時的なものであって、将来的には「統計学? 私には関係ないし、面倒なだけだ」というところに落ち着いてしまう。

態度の教育は、知識や技能の教育よりも数倍は困難だ。知識と技能を教え込むことには成功しても、態度の変容には大失敗しているということがよくある。とはいえ、「知識と技能の教え込みには失敗したけれども、態度は良好な方向に向いた」というのも、胡散臭くて信じることはできない。それはきっと上辺だけの態度変容である確率が高い。

看護婦さんにインタビューしてきたのは、看護学校で教える統計学の内容をどういうものにすればいいのか、ということを探るためであった。看護の現場ではデータはどのように収集され、分析・整理されるのかということを知りたかった。そのイメージがつかめれば教材の内容を詰めていくことができる。

つまり、ニーズ分析というやつだ。

それでわかったことは、看護の現場では「分散分析」というものは使わないということだ。「t検定」もめったに使われない。分布や信頼区間、グラフの作成、相関関係あたりで十分だ。検定としてはカイ二乗検定だけか。

まあ、このことはインタビューする前から予想はついていた。めったに使うことがないので、そのことを教えなくていいのかという問いに答えるのは難しい。たとえば二次方程式などは、それが教えられてから以降、実際の場面で使うことはほとんどない。しかし、それがすぐに「教えなくていい」ということにはならない。とはいえ、それが将来どのように役立ってくれるのかということをまったく説明できない状態というのはやはりおかしいような気がする。

ということで、来年の看護学校での統計学を教えるためのテキストを、ニーズに合わせて改訂しようと思っている。