KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

前置きなしに始める

雪だ、雪だ。これはちょっと積もりそうだ。大学から家に帰る道の途中で、RV車が見事に裏返っていた。どんな運転をしたら、あんなに見事に裏返るんだろうか。

そういえば、私は堤防沿いの道を走っていて、前にいるトラックがずずずずと道からはみ出していって、そのまま土手の下に転げていったのを目撃したことがある。あのときは、ぐるんぐるんと2回転くらいして、最後に土手の下で正しく立っていた(と記憶している)。運転手はさぞや恐い思いをしたことであろう。

雪が積もったら速度は控えめに。

静岡大学に行ったときに、ある先生から「前置きなしに始める」というタイトルのコラム記事のコピーをもらった。雑誌『bit』の記事だ。

その記事によると、日本人のプレゼンテーションがいまいちなのは、前置きが長すぎるのではないかということだ。聴衆の注意力は、始まりで一番高く、だんだんと落ちていく。それに対して、プレゼンの内容は、つまらない、どうでもいいことから始まり、だんだんと面白くなっていく。つまり、聴衆の注意力と、話の面白さとはちょうど逆の関係にあるので、プレゼンはうまくいかない。

プレゼンを効果的なものにするためには、注意力が最大であるはじめの段階で、一番面白い内容を話すことだ。そのためには、プレゼン用のスライドを、面白い順に並べ替えて、その順番で話をすればいいとその記事は提案している。

なるほど、効果的な文章を書く技術でも、「重要な順番から並べよ」と言っている。プレゼンでも同じ原則が働くはずだ。ということで、静岡大学での講演ではそれをさっそく試してみた。結果はうまくいったような気がする。

私たちは、テーマの背景から始めなければなんとなく落ち着かないような習慣になっているが、実際は、いきなり核心部分を話してもまったく問題はない。もし時間が余ったら、背景を話せばいいだけの話だ。しかし、不思議なことに、時間は余らない。話をしていくと、人は制限時間の分だけ話を膨らませるものらしい。

「これは時間が余ったときに話そう」と思っている話題を話す時間は、たいていないのだ。まさにそれを話そうと思ったときに話さなければ、もう二度とその機会は訪れないもののようだ。