KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

教育心理学会@熊本

熊本に来ている。教育心理学会に参加している。

さすがに熊本は暖かい。朝は少し冷えたので、長袖シャツできたけれども、昼間は汗をかくことになった。あしたは半ズボンにしようか迷うところ。明日も天気は良さそうだ。

午前中は聞きたいシンポジウムがなかったので、ポスター発表を見て回る。とはいっても知り合いに次々と会うので、つい世間話をしてしまう。その中でも、作文の研究や学習スタイルの研究を見つけて、情報をもらう。私にとっては学会は勉強の場だ。結局、今その研究をしている人が、そのテーマでの最新情報を持っているから。

午後は、自己制御(self-regulation)と動機づけについてのシンポジウムを聞く。授業実践についての話かと思ったら、そんなことはなくて、心理学史をひもとくような話題提供だった。つまらないかというとそんなことはなくて、逆に面白かった。そのテーマのオリジンを知るということは、何かしらひらめきを与えてくれるものだ。自己制御理論や、期待・価値理論などは心理学の中で長い歴史と思索を経ているのだ。それが教育工学の理論的裏付けになるはず。

社会心理学の中で、「真の測定」を巡るはなしも面白かった。真の測定をするためには、その人が言っていることを採用してはだめだというのだ。そうではなく、本当の態度、つまり自分でコントロールできない自動的な行動を測定せよというわけだ。平たく言えば、「その人が何を言っているかではなく、その人が(無意識に・自動的に)何をしているかを見よ」ということだ。その測定のために、認知心理学で洗練されてきた測定法(反応時間、再生再認、注意の配分など)が利用できると。これには目から鱗。ということは、同様に教育評価でもこれらの方法論が使えるということだ。

午後の後半のシンポジウムは、討論の授業や電子的コミュニケーションを利用した授業のはなし。LTD法の詳しい説明が聞けてよかった。これは日本で実践しているところは少ないと思うけれど、試みに値するような気がする。しかし、対話のスキルそのものが学習目標であるとすれば、改善の余地はある。介入が少なすぎるような気がするからだ。対話スキルそのものを評価することがどうしても必要だが、それはLTD法の雰囲気を悪くするかもしれない。しかし、それなしにはどうしてもコンサマトリーな話し合いで終わってしまう危険性がある。これも含めて、コミュニケーションのデザインはチャレンジングなテーマだ。難しいけれどもできればブレイクスルーになる。

夜は本の出版祝賀会。イタリア料理はおいしかったし、話は楽しかった。