M. Rabinowitz & E. J. Shaw: Psychology, Instructional Design, and the Use of Technology: Behavioral, Cognitive, and Affordances Perspectives. Educational Technology May-June 2005 pp.49-53
何をどのように教えるべきかという課題と情報を提示するためのメカニズムはすべて心理学の概念に端を発しているとして、心理学の展開を紹介している記事です。私としては、「行動主義→認知主義→状況的学習論」とまとめていましたが、それを「行動主義→認知主義→アフォーダンス」とまとめていたので注意を惹きました。
インストラクショナルデザインのルーツとなった行動主義(1920〜)は、タスク分析、前提知識、ティーチングマシンのデザイン、プログラムされたインストラクション、行動修正などの語彙を与えてくれました。その後の認知主義(1950〜)は、ブラックボックスとして扱われてきたマインドが、環境そのもののとらえ方に影響することを指摘して、情報処理モデルを提示しました。最近のアフォーダンス的見方(1990〜)は、マインド重視・環境軽視の振り子を戻しました。アフォーダンス的見方では、環境は処理を制約・決定する要因として扱われます。ここにいたって、知識や能力のようなものは内的な情報と考えられ、環境の中にあって処理を制約するアフォーダンスは外的な情報としてとらえられます。この2つのインタラクションが人の反応や行動を決めているととらえられます。
この論文は、著者の1人が編者になっている「The Design of Instruction and Evaluation: Affordances of Using Media and Technology」(LEA, 2004)という本のダイジェストになっています。つまり、第三者が書く書評ではなく、著者自身が自分の著書を紹介する論文という形式です。こういう形式は、この雑誌にはちらほらと見られて、面白いです。