KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ディンクマイヤー、ドレイカース『子どものやる気』

子どものやる気

子どものやる気

私たち著者は力を合わせて、精神医学、心理学、および教育学を統一的に把握する見通しを提供してみようと努力してみました。

先生が自分の生徒のために役立てようとして精神力学の使い方を覚えるのは、それで医者や心理セラピストになるためではありません。心理学の知識を持ち、そして特に心理学の裏づけのある矯正法を実行することは、全体としての教育活動を成功させるために、欠くことができないものだからです。

また、その一方で、精神医は自分が行なう「治療」が、医学的というよりも、むしろ教育的な処理であることが非常に多いのに、いずれ気がつくことでしょう。

言い換えれば、先生には、教える学科についての知識とか、教える技術以外にも、身につける必要のあるものが出てきたのです。すなわち、心理学的な知識と、それを活用する技術です。

ディンクマイヤーは教員養成大学の教員であり、ドライカースは、アンスバッハーと並ぶアドラーの弟子です。この本は、教育の場面で、アドラー心理学を実践するとどうなるかということを記述しています。前半で理論的な話をし、後半は事例によって実践例を示します。

私が教育心理学の中にアドラー心理学を位置づけたいと考えるのは、先生の「教える技術」を支える土台として、子どもを信頼し、勇気づけることがなければ、それはもろいものだということを感じているからです。まず最初に、子どもと良い関係が結べなければ、たとえ教える技術を持っていても、それを発揮する機会を得ることができません。

子どもにやる気を起こさせるためには、周りの人が勇気づけることが必要です。しかし、勇気づける行動は誰もができることではなく、何よりも自分がその子どもを全面的に信頼していなければできないことです。さらに、自分が勇気づけるという行為をすることに対して、確信を持っていなければできないことです。この本は、具体的な事例を持ってそのことを説いています。