KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

第2回インストラクショナルデザイン研究会:成功も失敗もない。すべてが学習のプロセスだ

第2回ID研究会が8人の参加者を得て開かれました。今回は、ドゥエック先生の『やればできる!の研究』を材料にして、KJ法的ワークをして、語り合いました。

大変楽しいワークでした。その内容については、12分のまとめビデオをご覧ください。

その中でも、私が強く感じたことは:

  • 成功も失敗もない。すべてが学習のプロセスだ。

教える方に、失敗を嫌うマインドセットがある。それは単に成功第一主義者である場合もあるし、失敗をさせると指導が面倒になると考えている場合もある。いずれにしてもそれは「失敗をさせたくない教育」を指向する。その結果として、学習者は「失敗をしてはならない」マインドセットを獲得する。

それは学習と上達の機会を大幅に狭めてしまうことになる。なぜなら、成功からはただ成功した1事例と、失敗できないという恐れを獲得するだけだからだ。失敗すれば、選択肢を広げ、多様な改善の可能性を探るというスキルを獲得することができる。失敗こそが、学習と上達の良い機会であることを、教える方も学ぶ方も共有することが大切。

逆に、成功もプロセスに過ぎない。なぜなら、現時点の成功は、次のより良い成功のための失敗だから。つまりパーフェクトな成功は、ない。100点満点で100点取ったということは、100点満点というフィクションの中の夢に過ぎない。成功を終点としないマインドセットが必要。

  • ごまかしフィードバックが蔓延している。はげますな。なぐさめるな。自分に指導するスキルがないことを認めよう。

学習者が失敗したり、勝負に負けたりすると、指導者ははげましたり、なぐさめたりする。それは実質的なフィードバックではなく、気休めだ。気休めが済んだら、指導者は実質的なフィードバックをしなくてはいけない。しかし、ごまかしフィードバックだけで終わっていことが多い。次に何するべきかのヒントを出さなくてはいけない。ごまかしフィードバックが蔓延しているのは、指導者にフィードバックのスキルがないからだ。そのことを認めて精進しよう。

まとめビデオはこちらです(12分)。

はりねずみ先生のまとめブログです。

http://harinezumi.hatenablog.com/entry/2012/05/19/015055

ドゥエック先生の本はこちらです。

「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力

「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力