なぜこの本にもっと早く出会わなかったのか。
この本は、人が変わるときに起こる「抵抗」(変わりたくない、変わる必要はない、変わる自信がない)を乗り越えて、変わるためには、どのようなインタビュー(カウンセリングというよりは)を行えばよいのかを追求している。その背景にはアンビバレンス(両価性)「変わりたい、でも変われない」の構造があり、それをどのように扱っていくかを具体的に示す。その源流はロジャースのカウンセリングであり、そしてプロチャスカの変化のステージモデルなどが援用されている。
私が「教える技術」=「インストラクショナルデザイン」の次に来ると考えている「教えない技術」はまさにこの「抵抗」を扱おうとしていた。「それをやればいいのはわかっているよ。でもやりたくないんだ」という抵抗トークをどうやって「やれる! やろう!」というチェンジトークに変化させるかというところが山だったのだ。
この本はまさにこのことを扱っている。実践の文脈は、アルコール依存を典型として、医療・保健の領域が中心だが、日常的な文脈でも使えるはずだ。私たちは毎日のように誰かに言い訳をしたり、自己欺瞞をしたりしている。そしてやるべきことを巧妙に避けたり、先延ばししている。そうしたことを軽々と乗り越えて、充実した毎日を過ごすためにはどのようにすればいいのか。この本が示唆することは多い。
なお、オハンロンの『変化の第一歩』も関連文献として見ておきたい(id:kogo:20091224)。
- 作者: ウイリアム・R.ミラー,ステファンロルニック,William R. Miller,Stephen Rollnick,松島義博,後藤恵
- 出版社/メーカー: 星和書店
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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- 作者: ビルオハンロン,串崎真志,永井知子,酒井隆
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 2009/05/26
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