KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【研究】講座「論文の書き方」:フィールドノーツから始める

2023年5月21日(日)

10時から12時まで、日本アドラー心理学会(JSAP)主催のZoom講座「論文の書き方」の第1回。参加申し込みは28人だが、同時に地方会がZoomで開かれているとのことで、15人くらいが参加。

この講座は、2022年2月に最初に開催している。そのときは、参加者がどのようなニーズを持っているかがよくわからなかったので、まさに論文の書き方を直接取り扱った。具体的には、すでに公開されている文章を事例として、これをより良い論文にするにはどうすればいいかということを話していった。

しかし、論文を書くよりも先に、まず研究のスタートを切りたいという人が多いということを感じていたので、今回はそのような内容にしている。具体的には、日常の活動を観察し、記録する「エスノグラフィ」という方法を始めようということだ。その観察記録(フィールドノーツ)をためていって、それをどのように分析し、研究論文の形にしていくかということを2回目、3回目で扱う予定。

エスノグラフィを研究方法として採用したのは、これまで、質的分析にしても量的分析にしても、形にこだわりすぎたという反省があるからだ。もちろん、卒論や修論を書こうと思ったら、こうした「研究の型」をマスターするのは良い手順だ。そこから考えていると時間がなくなってしまうからだ。

しかし、当面の締切がない研究者=実践家は型から入ることで、目の前の重要な問題が見えにくくなってしまうという副作用がある。的を外したデータでも型にはまった分析をすれば何かしら出てくるので、それで論文のようなものが書けてしまうからだ。それは良くない。

なので、まず観察から入る。そこでは自分の感情をセンサーにして、本当は何が問題なのかということを内省しつつ、フィールド=現場で活動をしていく。そこで記録していくフィールドノーツが研究の種になる、というステップを考えている。