KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【本】ラスムッセン『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(4)

2023年10月9日(月)

ラスムッセン(今井康博訳)『心地よさを求めて: アドラー心理学からみる感情論』(川島書店, 2022)の6章のまとめ。

https://www.amazon.co.jp/dp/4761009454?tag=chiharunosite-22

第6章 感情・心地・動機

感情と認知の関係についての説
・ジェームズ・ランゲ:感情がまず起こり認知がそれを解釈する
・キャノン・バード:感情と認知は独立している
・シャクター・シンガー:感情と認知は相互作用する

生命体の基本プロセス
・出来事が起こる
・認知がそれを知覚し、解釈し、計画する
・感情がそれを評価し行動を促す(外へ)
・行動が起こる
・心地(feeling)はその結果を評価し自分に戻す(内へ)

私たちは単に認知的な評価に基づくだけでなく、それをどのように感じるかを拠り所として状況の良し悪しを判断している。
・感情は何が重要かを判断する助けとなり物事を実行させる
・感情は「実存的フィードバック機構」として捉えられる
・行動の強さは感情の激しさに相応する

感情は有機体全体の命の状態の<顕れ>としてみることができる。
・感情がもしなければ人生は不毛で長く続かない

乳幼児の感情表現は保護や世話を大人から引き出すものだ。
・大人になって言葉を使えるようになってからも、感情は自らの欲求、意図、非言語的態度を示す役割を果たす

適応的無意識は、生存の状態をモニターし、ある出来事が増強のチャンスをもたらすものか、防御の必要を生むものかを判断する。

感情反応を正当化するものとして言葉を作り出す。そのときにその人の私的論理が働いている。

もし感情が認知的解釈や信念から生ずるもので、その感情が大抵不快なものならば、私たちは思考を再構成する必要がある。

クライエントの側でより大事なことは何を感じるかである。二十年間に及ぶ現場での診療に携わってきた中で、私は自分の診察室に来たクライエントが「私の歪んだ考えを直してください」と言ったのを一度も聞いたことがない。……そもそも彼らは不快な感情を感じているからこそ助けを求めに来るのである。