今日から自主的に夏休みとする。テレビは帰省ラッシュを伝えている。世の中もお盆休みにはいる。
大学教員の仕事は、長い夏休みがあるのが特徴だ。私の例で言えば、8月の初めから10月の上旬まで、2ヶ月ちょっとの夏休みだ。この期間中、ずっと遊んでいるわけではない。遊んでいる人もいるのかもしれないが、本当の所は知らない。しかし、授業のない大学に夏休み中も来ている教員は、数えるほどしかいない。そうするとやはり遊んでいるのかな? まあ自宅で仕事をしているということもあるし…。
大学教員の仕事は、大きく分けて、教育と研究と大学運営の三つだ。休み期間中は研究の仕事が中心になる。私の尊敬する先生は休み中に論文と本の原稿を書く。授業を行っている期間はやはりなかなか書けないという。だから休み中に集中的に書くのだと。見習いたいと思う。
私は「書くこと」についての本の原稿を書かなければならない。これを担当している編集者がプロフェッショナルだなあと感じた。会って打ち合わせをする前に、1、2本、パイロット原稿を書いて下さいといわれた。こう要請されたのは初めての経験だ。その後、都合で打ち合わせの期日が延期された。これはラッキーと思った私は、パイロット原稿を延期に合わせてちょっと遅らせていいかと、編集者にメールで尋ねた。「いいですよ」という。そして、
「ただし人間の性で、締切が伸びればその分密度が高まるはず……と思ってしまうのはお許しいただけますね」
と続いた。うーん、さすがである。プロの編集者である。締め切り延期を提案した僕はちょっと後悔した。
本屋には「書くこと」についての本がたくさん並んでいる。「書く力をつける」とか「うまい文章を書く方法」とか「どうすればうまく書けるか」など。ということは、書くことに対するニーズが大きくなっているということだ。同時に、書くことが苦手な人がたくさんいるということだ。僕が書こうとすることはその人たちへのメッセージだ。たとえば、こんな:
書くことは歩くことと同じくらい簡単だ
本当かな? 言ってみた本人が疑っている。でも、大丈夫。こうすれば本当らしく見えてくる:
書くことは歩くことと同じくらい簡単だ(みつを)
でしょ?