KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

「テスト形式の違いによる学習方略と有効性の認知の変容」

村山航「テスト形式の違いによる学習方略と有効性の認知の変容」心研75(3),262-268

学習後に行うテスト形式が、記述式であるか穴埋め式であるかによって、学習方略がどう変化するかを見た。記述式になると、暗記方略(浅い処理)よりも理解方略(深い処理)を多用するようになった。

これはPCカンファレンスでの発表に書いた、次のことに対応していると思う。
http://kogolab.jp/research/paper/2004/CIEC04/yokou.html

 以上見てきた学習サイクルで最も重要なことは、各段階の活動の内容はその後の活動の内容に規定されるということである(図1参照)。たとえば、BBS討論がどのように進められるかは、その後のテストの形態(選択肢テストなのか記述式なのか、レポートなのか、プレゼンなのか)に規定される。そしてBBS討論の形態は、入力であるVODの見方を直接的に規定するのである。たとえばBBS討論で問題発見が求められているのか、問題解決が求められているのか、あるいは知識の獲得が求められているのかによってVODの見方は大きく変わってくる。

 このように各学習活動は独立しているのではなく、一貫性を持って互いにリンクしている。eラーニングにおいては、学習オブジェクトのモジュール性が自明のように前提とされているが、この学習規定モデルによれば、むしろモジュール性ではなく活動の相互依存性に注目して、教育をデザインしていく必要があるだろう。