KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

【研究】リサーチクエスチョンのパターン

2024年5月13日(月)

アドラーゼミの研究の時間では、リサーチクエスチョン(RQ)を作ってみようという課題をやっている。RQのパターンについて整理しておくことはこの先便利なので、メモしておこう。

・記述のレベル

記述のレベルを意識することは重要だが、さらに重要なのはレベルを変えたときにそれが妥当であるかどうかを吟味すること。

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↑具体的
 現象、出来事・エピソード(何月何日、AとBがおもちゃの奪い合いでケンカをした)
 ラベル・名前、概念(子供同士のケンカ)
 計測、数値化(ケンカの発生回数)
↓抽象的
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・質的研究と量的研究

具体的記述レベルで研究をすると質的研究になる。そこでの関心は、出来事の時系列的経路(タイムライン)や個人や環境の構造である。たとえば、どのような経路でAとBのケンカが起こるのか、あるいは、どのような環境的条件(人と物の布置)のときにケンカが起こるのかを明らかにする。

抽象的レベルで研究をすると量的研究になる。そこでの関心は、条件を操作したときに計測値が変化するかどうかである。たとえば、子供やおもちゃをどのように配置したときにケンカの発生回数が少なくなるかを明らかにする。あるいは保育士がどのような介入をするとケンカの発生回数をコントロールできるかを明らかにする。

この中間(概念、ラベル)でも研究ができる。たとえば、Aが自分のおもちゃをBに渡して服従するときは「ケンカ」とは呼べないが、何か別のカテゴリーやラベルをつけるべきかどうかを考える。また、こうしたことを「子供同士の交渉過程」と概念化して新たな観察の枠組みを作ったりする。こうしたこともまた研究である。