KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

長くWeb日記を書いていることによる危険

 「長く」というのがどれくらいのものなのか諸説あると思うが、2年から3年以上としておく。これくらいの期間、Web日記をほぼ毎日書き続けていると、妙な行動習慣が身に付いてしまう。それは、一日の中であった出来事、思ったことをすべて文字にしておきたいという衝動に駆られることだ。

 もちろんすべてを文字に残すことは無理な話だ。しかし、そのことを思い出すなんらかの手かがりだけでも、Web日記の中に残しておきたくなるのである。Web日記本体の中に書けないことは、裏サイトに書いたりする。あるいは書けなかったネタはネタ置き場サイトに記録しておいたりする。ネタは、手帳にでも書いておけば良さそうなものだが(私は「マイブック」使用)、Webページに書いておく方が、その後の利用が楽なのである。だからつい秘密のWebページを使ってしまう。

 こういう行動習慣がついてしまうと、ある危険をともなう。というのは自分にとって重大な出来事や考えを「どこかに書かずにはいられない」ということだ。重大な出来事や考えは、Web日記には書かない方がいい場合がある。それは、Web日記の読者の立場からすれば、残念なことであるかもしれないが、やはり、そういうことはあるのだ。書かない方がいいこととは、本当にプライベートなことだ。しかし、それすらも書いてしまう。書かずにはいられない。

 Web日記書きとしては、もっとも大事なことを書かずに、2番目に大事なことをWeb日記に書くということは実に歯がゆいことだ。まず大切なことを書く。すべてはそれからだ。そんなふうに考えているところがある。しかし、それは危険だ。その習慣が危険なのだ。一度プライベートなことを書き始めると、どんどん突き進んでしまう。際限がない。Web日記をまるで自分専用のノートのように考えて、使っている。しかし、そこは実にたくさんの人が見ている場所なのだ。

 Web日記の書き始めの頃は、ほんのわずかの人しかそれを読んでなかった。もっとたくさんの人に読んでほしい、と思ってもなかなか読者は増えないものだ。しかし、長く書き続けていると、読者は徐々にではあるが増える。気づかないうちにかなりの人数が定期的に読むようになっていたりする。しかし、Web日記書きの意識は始めた頃のままだ。「そうたくさんの人は読んでいない」という意識のまま、そこまで来ている。そして、そこまで長く日記書きを続けた成果として、大切なことをまず書く、書かずにはいられない、という習慣が確立してしまっている。だからトラブルに会う危険性も高いのだ。

 個人的に重大な出来事や考えを書く、ということはWeb日記の基本かもしれない。しかし、それはをそのまま書くのはやはり危険なのだ。なぜなら書き手はWeb日記の中では驚くほど無防備だからだ。それは悪意の人が入ってくれば簡単にトラブルになる。だからこそWeb日記は面白いとも言える。しかし、Web日記であろうが、他のWebページと同じようにガードを堅くするということは必要なのだ。一番強力なガードは「書かない」ということだ。